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誤解をまねく英語表現③ ~ 専門家

   

「専門家」という言葉の重さ

私のこれまでの経験では、「専門家」という言葉の重みは、国によって随分、開きがあるように思います。

日系を含む、いわゆるアジア系の会社で「専門家」という時には、自他ともに認める優れた実績のあるひと、とかなり限定的な使い方である一方、欧米系の会社で専門家として紹介されるひとの中には、この分野で経験が長いのは認めるけども、正直なところ、「んんん?!」、、と感じるひとにもよく会うあるからです(もちろん素晴らしく能力があるひとも多いですが)。

私が感じる違和感を端的に言ってしまうと、「専門家」という言葉は、アジア系の会社では他者から認定されないと使ってはいけない重い言葉であるのに対して、欧米では自分で言い切ったもの勝ち(自分で責任もって言い切れるなら、そう名乗っても良い、みたいな)、という感覚です。

 

文化的な背景によって、同じ単語のようでも重みが異なる

このニュアンスの違いがどこから来るのか長年、不思議に思っていたのですが、ある時、日本人と欧米人で共同プロジェクトを立ち上げる機会があり、その際のアプローチの違いをみて、ひとり得心をしたことがあります。

その違いというのは、

  • 日本人は、まずプロジェクト・リーダーを中心にタスクの一覧を整理し、スケジュールを立ててから、最後に役割分担を決めるのを好む
  • 欧米人は、プロジェクト・リーダーを中心に、各人の担当を決めてから、各担当がリーダーに随時報告しつつ担当業務を進めたがる

ということです。

わたしは、この場面をみていて、日本人のアプローチはは、まず祭祀にお伺いを立てたうえでみんなで田植えの準備をすすめる「農耕民族」、欧米人のほうは、勢子(獲物の追い出し役)と射手(獲物を射る役)を決めてからとりあえず猟場に向かう「狩猟民族」のようだな、との印象を受けたのです。

この文化的な背景の違いを踏まえると、日本人が考える「専門家」とは、農耕民族における「祭祀」のように特別な存在なのに対して、欧米人の考えるそれは狩猟民族における「勢子・射手」のように単に役割分担を示すものなのかも知れない、こういった違いが、いわゆる「専門家」という言葉を使う感覚の違いに影響を与えている、ということなのかも知れませんね。

前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、何が言いたかったかというと、同じ単語のようであっても、文化的な背景を踏まえると全く同じ定義にはなり得ないので、外国語を学ぶというのは本当に難しいな、というあたりまえの結論でしかないのですが。。。

 

さて、以下の例文の誤解をまねく表現わかりますか??

Eitarou: I suppose we need to have a veteran member to stimulate sales. Do we have any members? 

Tom:  No, we have no member who have military background (why military???).  But Jane, who recently joined in our firm, is an expert of marketing.

Eitarou:  (why military???) Ah, she looks like a “pro”.

Tom:  Eh...yes, “professional”, she’s really professional.

< 訳 >

Eitarou: 売上をあげるためには、“ベテラン”を投入する必要がありますね。だれか良い人はいませんかね。

Tom:  この会社には軍隊経験のあるひとはいませんね(なぜ軍隊??)。でも、最近入社したJaneは、マーケティングに関しては非常に優れていますよ。

Eitarou: (なぜ軍隊???) あぁ、でも、彼女は確かに“プロ”に見えますね。

Tom: え~、そうですね、“プロフェッショナル”。彼女は本当にプロフェッショナルです。

 

解説はこちら

「Veteran」はもともと、ラテン語の年老いたという言葉に由来し、老練な歴戦の勇士を指すことばであったもので、英語ではその名の通り退役軍人のことを指します。

「専門家」という単語としては、以下のような言葉があります。

Expert: 訓練や経験によって得られた専門性を身につけたひと。日本語の「ベテラン」に一番近いニュアンスの言葉だと思います。ビジネスの場面ではよく「SME(=Subject Matter Expert)」という用語がつかわれてますね。その道の専門家、みたいな感じですかね。

Specialist: 特定の分野に専門特化したひと。

Professional: いわゆる弁護士や会計士など、特別な教育・訓練を受けて知的職業・専門職に従事しているひと。

なお、日本人は、Professionalのことを略して「プロ」とよく言いますが、これは避けた方が良いのではと思います。というのも、英語で売春婦(=Prostitute)のことを「Pro」と言ったりするので、ネイティブからするとちょっとビジネスの場にふさわしくない語感を感じてしまうのかもしれません。

私も以前は「プロ」という言い方をしており、意味は通じていたみたいですが、外国人の同僚・取引先からは「プロフェッショナルのことね」といちいち直されていたので、良くない使い方なのかなと思います。なんでも略すのは便利でもあるのですが、安易に使うのは良くないな、と思います。

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